マウスピース矯正治療後の顔の変化
マウスピース矯正はここ数年飛躍的に進化しています。その理由はデジタル化とアタッチメントの存在です。以前はワイヤー矯正でしか治療できなかった症例でも、マウスピース矯正によって治療することが可能になりました。一方で、マウスピース矯正を希望して相談したけれど「この症例はマウスピース矯正だけでは対応が難しい」という場合ももちろんあります。マウスピース矯正治療後の顔の変化、マウスピース矯正ができる歯並びの症例、できない歯の歯並びの症例、特徴とその解決方法についてお話します。
大人になってからの矯正はマウスピース矯正
歯並びの矯正治療は一般的に永久歯が揃う前、つまり子供の時にしておくものという印象がありました。しかし近年は大人になってからも簡単に歯並びを治すことができるようになりました。歯並びが気になっている大人におすすめの矯正治療がマウスピース矯正と呼ばれる矯正治療方法です。マウスピース矯正は、一般的な歯列矯正のイメージの定番である笑うとワイヤーをかけたブラケットと呼ばれる装置が見えてしまう歯列矯正とは異なり、装置が透明で目立たないことが最大の特徴です。透明の装置は患者さんご自身で取り外しが可能です。取り外しが簡単なことから、食事や歯磨きのときは取り外すことができます。1日20時間以上装着が必要です。お食事と歯磨きの時間以外は常にマウスピース装置を装着しておきます。透明の矯正装置は目立たないうえに必要な時には取り外しながら歯科矯正ができるので社会人になってからでも矯正治療がすすめることができるものとして多くの方に選ばれています。
マウスピース矯正ができない歯並び
大人になってからの矯正治療として「目立たない」「取り外しができる」「痛みが少ない」という理想的なマウスピース矯正ですがすべての方にマウスピース矯正ができるとは限りません。現在の人は「小顔」の若い人が増えてきています。これは顎の骨がどんどん小さくなってきているということです。顎が小さくなってきているということは歯が並びきれずスペースがないところにキツキツの状態で歯が生えてくることになります。当然歯が前後に重なったり、ガタガタになっていたり1本だけ飛び出ていたり、前歯がでたり、受け口になってしまったりという状態になってしまいます。下顎が前に突き出している反対咬合もマウスピース矯正だけ矯正治療はできません。もしマウスピース矯正をするのであれば先に抜歯をする、歯を削るなどして歯を並べるスペースを作ってあげてからとなります。マウスピース矯正ができるかどうかは歯科医師の判断によります。抜歯や歯を削る処置を行えばマウスピース矯正ができることもありますのでまず相談してみてください。
マウスピース矯正で対応が難しい症状
骨格系に原因がある場合
上顎前突(出っ歯)、下顎前突(受け口)
出っ歯や受け口のような顔の形に関する問題は、上顎と下顎の顎の骨の位置になんらかの原因があることによります。軽度のズレであれば歯の向きを調整することでキレイな歯並びに整えることはできますが、上下の顎の骨の位置に大きなズレがあると歯並びを整えるだけの治療では対応は困難です。上下の顎の骨に原因がある場合には歯科口腔外科手術と矯正治療を同時に行う治療があります。出っ歯や受け口の方でも軽度から中等度程度の方であれば、手術は行わずマウスピース矯正治療を行うことができます。
抜歯が必要な矯正治療
矯正治療は歯を並べるスペースを確保する必要があります。そのためマウスピース矯正であっても抜歯が必要だったり歯を削る必要がある場合があります。歯を動かす量が多ければ多いほどそのぶんスペースを確保する必要があります。
マウスピース矯正ができる可能性がある症状
叢生(乱杭歯)
叢生(乱杭歯)とは、顎が小さく歯が生えるスペースが少なく歯並びがデコボコになっている状態のことを言います。乱杭歯の方は機能的にはしっかり咬めていない状態です。ただし抜歯を伴うことが多くなります。歯が生えるスペースが無いことにより、歯列が不揃いになってしまったり、ガタガタに見えてしまうことを叢生と言います。歯を抜かずに、マウスピース矯正ができる可能性がありますので、まずは検査を受け、状況把握することが重要です。
開咬(オープンバイト)
奥歯は噛んでいても、前歯が噛み合わずに開いているものを開咬(かいこう)といいます。小さい頃の指しゃぶりや舌を出す癖・口呼吸などが原因となります。また、遺伝等で骨格的に問題があり、下あごの成長方向が悪い人がなりやすい傾向があります。開咬は、前歯で食べ物を咬み切ることができないばかりでなく、聞きとりにくい不明瞭な発音となってしまうなどの問題があります。
過蓋咬合(ディープバイト)
過蓋咬合は深い噛み合わせのことを指します。下の歯と上の歯が接しない状態をいいます。発音時に空気がもれやすく、食べ物を咬み切ることができないなどの問題があります。奥歯で噛んだ時に、下の歯が見えないほど深い噛み合わせの状態です。下の歯で上の歯茎を噛んでしまったり、顎の自由を制限されてしまうなどの問題があります。過蓋咬合を改善するために、マウスピース矯正で治療を行うことが可能です。
反対咬合
反対咬合は、下の歯が上の歯より前に出てしまっている症状です。下顎の動きが制限されてしまい、顎関節に負担がかかってしまいます。詳細な検査をすることが重要ですが、マウスピース矯正で治療をすることが可能です。遺伝的なもの、顎や舌を突き出す癖によっておこるものが原因です。
軽度から中程度の上顎前突(出っ歯)
前歯が前に突き出ていることを出っ歯(上顎前突)と言います。 お口が閉じにくかったり、見た目でお悩みの方が多くいらっしゃる症状ですが、マウスピース矯正で治療が可能です。
空隙歯列(くうげきしれつ)すきっ歯
空隙歯列(くうげきしれつ)とは、歯間に隙間がある状態のことをいい、すきっ歯と呼ばれます。特に、前歯の真ん中に隙間がある場合は正中離開(せいちゅうりかい)といいます。すきっ歯はサ業の発音が難しくなったり、歯と歯の間に食べ物が詰まりやすいという問題があります。マウスピース矯正で治療をすることにより、解決することができます。
矯正治療後の「後戻り」
以前矯正治療をした方や、痛みなどの理由で途中で中断された方に起こる後戻りをマウスピース矯正により、再度矯正治療をすることが可能です。
マウスピース矯正ができるかどうかは相談
最近ではマウスピース矯正で対応できる適応範囲はどんどん広がっています。しかし困難な治療を無理矢理マウスピース矯正で治療しても良い結果にはなりません。治療前にマウスピース矯正治療で改善できることと対応が難しいことを理解して頂いた上で治療を開始する必要があります。もしマウスピース矯正では対応できない症状であったとして最終的に患者様が満足できるような状態になればいいわけですので、まずはお気軽にご相談なさってくださいね。
hanarabikyousei
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