マウスピース矯正治療をスタートするに際には必ず担当する歯科医師が事前の検査や治療計画の相談、計画の決定が行われます。これは患者様と歯科医師により「どこまでを目指しゴールとするか?」を決める重要なステップです。このゴールに向かって歯並びをきれいに並べいくわけです。患者さんと歯科医師によって決めたゴールの歯並びになった時点で治療は成功としたとなり、キレイに並ばない場合には「失敗」ということになります。患者様によって目指すゴールはさまざまです。
マウスピース矯正治療が失敗する原因
歯科医院側の原因によるもの
マウスピース矯正治療を行う歯科医師側の技術不足や知識不足による失敗があげられますが、最近よく聞かれるのは「マウスピース矯正では対応できない症例を無理やりやってしまった」ということが考えられます。マウスピース矯正治療はあくまでも軽度の歯並びの改善に最適な治療です。歯並びが大きくガタガタに乱れている方には到底マウスピース矯正だけでは対応できません。マウスピースだけでは歯を大きく動かすことが難しくワイヤー矯正や抜歯が必要になる場合がほとんどなのです。患者様の骨格的な問題、歯の根の状態など、さまざまな角度から事前検査を行った上で、マウスピース矯正が適応されるかどうかの判断が大切です。
患者様側の原因によるもの
マウスピース矯正治療が失敗する最も大きな原因は「装着時間が短すぎる」ことです。マウスピース矯正治療は患者さんご自身での取り外しが可能です。つまり患者さんがご自分の意思で付けたり外したりができるのです。ワイヤー矯正のように24時間ずっと装置が歯にくっついているわけではないのであくまでも患者さん主体になります。マウスピース矯正は一日20時間以上の装着が必要です。装着している時間が長ければ長いほど歯がよく動きます。夜間も日中もほぼ装着しておかなければなりません。お食事中や歯磨き以外はすべて装着している必要があります。旅行中でつい長時間装置を外したままにしてしまった、ということが続くと当然マウスピース装置の装着時間が少ないために歯は計画通りに動かず効果が得られません。また常にマウスピース装置を装着しているため磨き残しがあるまま装置をしてしまうと虫歯や歯周病になりやすいというリスクもあります。マウスピースを外してこまめに口腔ケアを行う必要がありますが、虫歯や歯周病になってしまうとその治療を優先させなければならず、マウスピース矯正矯正治療が一旦中断してしまうということもあります。
マウスピース矯正治療が失敗しないために気をつけること
マウスピース装置は1日20時間以上!
マウスピース矯正治療はマウスピース装置を口の中に装着することで歯を動かす治療です。マウスピース矯正治療の1日の装着時間は20時間以上です。お食事や歯磨きの時以外は寝ている間も含めすべてマウスピース装置を装着しておく必要がありますマウスピース矯正装置はマウスピースを装着していないとまったく歯が動かず効果がありません。マウスピース装置の装着が困難な状況(急な入院、旅行、楽器の演奏等)などがある場合にはかならず歯科医師に相談しマウスピース装置の装着スケジュールを調整して下さい。患者さんご自身の判断で外したりつけたりをしていると治療計画でたてたように歯が動きません。装着できない場合には悩まずまずは歯科医師に相談しましょう。
虫歯や歯周病のリスクを予防する
マウスピース矯正中はマウスピース装置を常にお口の中に装着していることになります。磨き残しがある場合には装置の中にばいきんを入れ込んでしまうためお口の中はばい菌でいっぱいということになってしまいがちです。朝起きた時や寝る前はもちろん、食事をした後、おやつを食べた後などは必ず歯ブラシ、フロス、歯間ブラシを使って汚れを落としマウスピース装置を装着するようにしましょう。こまめにうがいをすることも効果的です。
定期的な受診
マウスピース矯正は、患者さんにもよりますがだいたい2週間ごとにマウスピース装置を交換していきます。マウスピース矯正は通常の矯正治療に比べ来院回数は少ないのですがそれでも定期的な受診は必要です。きめられた受診の日には必ず受診し、お口の中のチェックをするようにしましょう。
まとめ
マウスピース矯正は通常のワイヤー矯正に比べ痛みも少なく見た目も透明で目立ちにくく大人になってからでもできる矯正治療の方法です。自分で取り外しができるということにより気軽にはじめる方が増えている治療法ですがどんな症例でも対応できるというものではありません。マウスピース矯正の失敗例に多い原因は、マウスピース矯正では到底無理がある歯並びだったにもかかわらずマウスピース矯正をしてしまった、ということがあげられます。自分の歯並びにはマウスピース矯正が適応できるのかどうかを歯科医師に十分相談することが大切です。そしてマウスピース矯正は日中も就寝時もほぼ一日中装着している必要がある治療法です。気が乗らない時は外しておこうという感覚では矯正の効果はありません。マウスピース矯正は自己管理できる方にとっては非常に効果的な治療法です。マウスピース矯正に向いている人と向いてない人がいますのでスタートする前に必ずしなくてはいけない事項を確認しておき、できるかどうか判断してからスタートするようにしましょう。
hanarabikyousei
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